『四季抄 風の旅』

               星野 富弘 著

この本の著者である星野富弘さんは、昭和21年生まれ。大学を卒業して体育教師として赴任してわずか2カ月後クラブ活動の指導中に誤って墜落し、頸髄損傷を負う。9年間の病院生活の後、不治のまま退院。手足の運動機能は回復しなかったが、口に筆をくわえて、

              すばらしい詩画を創作。

      この本は、彼の詩画とともに日常の出来事とその時感じたことが

      治められている。その感性の豊かさとユーモア、そして、クリスチャンである
      彼の思いが伝わってくる。


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『四季抄 風の旅』
(冒頭一文)
私の未熟な筆では
この花の千分の一の美しさも
掻き出すことはできない
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美しさに感動できる心さえあれば、私にも絵が描けるのではないかと思った。らんの花は、一枚の絵として仕上げた最初のものである。その頃はまだ首の力が弱く一本の線を引くのにも重いものをひきずるような感じだった。それだけに一番思い出に残っている作品である。三日かかって埋めたバックのサインペンの線を見ていると、日記帳を開くように、その頃がよみがえってくる。最初に引いた線は、聖書の一説を思いながら引いた。「すべての事を、つぶやかず、疑わずに行いなさい」(ピリピ人への手紙)

苦しい時に踏み出す一歩は心細いものだけれど、その一歩の所に、くよくよしていた時には想像もつかなかった新しい世界が広がっていることがある。私の口の筆も、そのような一歩に似ていたと思う。よだれを垂らしながら、ありったけの力をぶつけて線を引くうしろにらんの花がひとつづつ増えていくのは、絵というよりも、胸の中に開き始めた希望だった。